非常宣言【2023-2作目】

本当に怖いのはウイルスではなくネット社会

【★★★☆☆】

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ソン・ガンホの安定的な演技力が光る
『飛行機の中でウイルスが蔓延したら
機内、地上ではどうなるのか?』
という映画です

まさに
コロナ禍を経てきたからこそのストーリー
となってました


上映中
劇場内にすすり泣く音が聞こえましたが
残念ながら私の琴線にはそこまでは触れてこなかった…


映画自体が少し長すぎで
パニック映画として焦点が
ぼやけてしまったこともありますが

ソウル〜ホノルル約8時間半×往復の間に
こんなにもがコトが進むか?
というぐらいに出来事が起こりすぎて
時間軸がおかしさを感じたことが
イマイチ感情移入できなかったことの
一因にあります


それ以上に
この映画で痛感したのは

時のリーダーは
人類が未経験の前例のないパンデミック状態に対して
どういう方向に導こうとも
どういう結果が導かれようとも
結局は批判の的になる
ということです


ネット全盛の社会において
最も強いのは
政治家でも軍隊でもなく
紛れもなく世論であり

SNSに乗っかった世論が動いてしまうと
政治さえ動いてしまう

その速度に対して後手に回ると
リーダーがどう動こうとも批判の的になる

ネット全盛の時代のリーダーは
決断力とカリスマ性が
ますます求められる

そう感じさせられました


今回登場した女性大臣も
人間味を持って対応はしてましたが

やはりスピードが速い
SNSに対して後手に回ってしまい
完全にその波に飲み込まれてしまいました

最後の女性大臣の
諦めとも取れる答弁が
全てを物語っているように感じます

 

一方、機内で
いわゆる自粛警察といわれるような
おじさんが登場しましたが
彼が本作品でワーストな人物であることは
間違いないでしょう

様々なことを学んだ映画ですが
あのようなおじさんにはなりたくないものです

 

総じて
映画の長さをもう少しコンパクトにすれば
パニックムービーとしての完成度が
もっと上がったのでは
そう感じさせられた映画です